頸部腫脹について
頸部リンパ節腫脹

頸部には多くのリンパ節があり、口や咽喉からの病原体などの侵入に備えています。
このリンパ節が、炎症やがんの転移などによりはれた場合を、頸部リンパ節腫脹といいます。
炎症によるものは、ウイルスや細菌、結核の感染によるリンパ節炎です。
腫瘍によるものでは、転移性リンパ節(悪性腫瘍の転移)や悪性リンパ腫(血液のがん)です。
唾液腺腫瘍
耳の下や顎の下が腫れたときは、耳下腺腫瘍や顎下腺腫瘍の可能性があります。
それぞれ良性腫瘍と悪性腫瘍があり、良性腫瘍では腫れ以外の症状はほとんどありませんが、悪性腫瘍では顔面神経が麻痺したり、腫れた部位が痛くなることもあります。
頸部嚢胞
嚢胞とは袋状の病的な構造物で、上皮に覆われた固有の壁を持ち、内腔には液体成分が充満しています。
頸部には側頸嚢胞、正中頸嚢胞、皮様嚢腫、類上皮腫など、さまざまな種類の嚢胞が発生します。
通常、症状は頸部の腫れのみで、炎症をともなうと痛みや周囲組織との癒着が出現します。
甲状腺腫瘍
首の前に触れる"のどぼとけ"(甲状軟骨)の下のところに甲状腺があります。
甲状腺は生命活動維持に欠かせないホルモンを分泌する内分泌臓器です。
甲状腺腫瘍は、多くの場合自覚症状は認められませんが、首の前に比較的堅い腫瘤として触知することができます。
腫瘍径が大きくなると首の前の隆起として容易に確認できるようになります。